Ice CubeがN.W.A.初期を語る② 「NYにて酷くブーイングされた」彼らを元気づけた人とは?
時代に抗い、業界を変えてきた先人たち
いつの時代も歴史に名を刻むアーティストたちはそのような特徴があるのかも知れない。ヒップホップは誕生してからまだ年月が浅いほうではあるが、様々なイノベーションを起こしたジャンルだと感じる。そんな業界にイノベーションを起こしたアーティストのうちの一つが「N.W.A.」である。
先日映画「ストレイト・アウタ・コンプトン」でのIce Cube乱闘シーンについて書いたが、またN.W.A.時代のIce Cubeについて書きたいと思う。アイス・キューブがN.W.A.初期のメンタリティについて語っているインタビューがアーティストにとって参考になると思うので、パート①とパート②にわけて紹介したい。
インタビュアー:NYで自分たちが聞かれているって知ってどう思った?歴史的に見てNYは誰も認めない傾向があるからね。
Ice Cube:もう冒険みたいだったよね。NYはメッカだし、俺らはNY外にいて、そもそもNYに認められるぐらいの成功をゲットできるとは思わなかったからね。NYにいる彼らがプロで俺らはただのローカルの人たちだと思っていた。
最初にNYにいったときは、まだEazy-Eが「We Want Eazy」でビデオ出したときぐらいで、N.W.A.としてはNYでは無名な状態だったんだ。NYのアポロにて全国からヒップホップアクトが集まるライブに誘われてライブをしたんだ。
Ice Cube:いざステージに出てみるとブーイングされまくったよ。「お前らのJheri Curlsなんて見たくねぇんだよ!」って言われたのを覚えてるね。セットの最後のほうにEazy-Eの「We Want Eazy」をやったら、MTVでMVを見たことある人たちが何人かいたみたいで、やっといい感じになってきたと思ったら、ライブが終わってしまったんだよ。
ライブが終わったあと、バックステージで皆凹んでたよ。「NYでブーイングされちゃったよ…」みたいな感じだったら、Eazy-Eが「大丈夫だ。半年後にあいつらは俺らのことをリスペクトするようになる」って言ったんだ。ヒップホップのメッカにきて、蹴飛ばされたようで最悪の気分だったね。
NYではじめてライブをしたとき激しくブーイングされたらしい。そんな彼らが数年後に全国的に大スターになるとは知らずに、西海岸ヒップホップ特有の「ジェリー・カールズ(EazyやIce Cubeがやっていたクルクルの髪型)」を馬鹿にされたのだ。そんなN.W.A.だが、やはり本場NYでブーイングされたのは凹んだらしい。しかしEazy-E以外にも凹んだ彼らを元気付ける人がいたのだ。
Ice Cube:でも、ホテルに帰ろうとエレベーターに乗ったらなんとRun DMCのRunがいたんだ。「呼び止められて、お前らどこ出身だ?」って聞かれたから「コンプトンだよ。今アポロでライブしたんだけど、めっちゃブーイングされたんだ。」って言った。
そしたらRunは俺らのことを知ってて「お前らあの”Boyz n the Hood”のやつらだろ!?あのレコードめっちゃ好きなんだよ!安心しろ。NYでは誰もがブーイングされるんだ。もしあいつらがちゃんとレコードを聞いて、雰囲気を掴み始めたらすぐにファンになるさ。」って言ってくれたんだ。
そこからは超いい気分になったね。「あいつらにブーイングされたのなんかどうでもいいわ!Run DMCのRunが俺らのことを好きって言ってくれてるんだぜ!?」って気分だった(笑)。そこからは前を見続けて、俺らがやらなきゃいけないことをコツコツやっていっただけさ。次にアポロに行ったときはソロライブだったんだけど、皆俺に金を投げてきたよ(笑)
そう、凹んだN.W.A.を元気づけたのはRun DMCのRunであったのだ。もしその時にRunに会っていなかったら、N.W.A.はここまでの存在になっていなかったかも知れないと考えると、Runに感謝したくなるだろう。特にIce CubeはRun DMCのことを敬愛しているので、効果は抜群であったと感じる。
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