Chance the Rapperが語る「地元」の大切さ。彼にとってシカゴとはどんな場所?
現代のシカゴを代表するアーティスト
と言ったらまずはChance the Rapper(チャンス・ザ・ラッパー)を思い浮かべるだろう。グラミー3部門を受賞し、音楽業界の未来とも言える彼は、先日シカゴの公立小学校のために1.15億円を寄付すると発表をした。(こちらでChanceの活動をサポートすることができる。)そんなシカゴのために活動をしている彼であるが、彼にとって「地元」というものはどんな存在なのであろうか?
Chanceがアーティストとして尊敬してやまない「Kevin Coval」という詩人がいるのだが、彼が先日出版したシカゴについての詩集にて、Chanceが序文を書いている。そこには彼にとってシカゴがどんな街かが書かれているので紹介したい。
Kevin CovalのA People’s History of Chicagoの序文より
皆は、自然の状態で美しく満開になっている植物/大木を見たことがあるだろうか?実は植物は根を引っこ抜いて、その苗を生まれた環境以外の場所に植林しても、同じようには成長しないんだ。例えば土からクリスマスツリーを引っこ抜いて家に持ってきたとしても、朽ちるまで現状維持をするだけ。
俺は少しシカゴを離れてLAに住んだことがある。もしLAで成長をしていたとしたら、今の自分と違う存在になっていただろうし、もしかしたら自分のなるべき人とは違う人になっていたかもしれない。自分はシカゴに種を植えられたから、シカゴで自分の成長のピークを迎えることができると感じている。
自分を植物に例え、「植林では成長のピークを迎えられない」と説明するChance the Rapper。さらに彼はLAに住んでいた頃をこう語る。
LAに住むことを計画していたときがあった。でもLAにいるときはいつもパーティとかに行ってLAのヴァイブスを感じてた。でも自分がそうなるために生まれてきたのか、そのように成長するべきなのかを疑問を持つようになった。自分にとってLAは「人生において重大なできごと」を経験するべき土地ではないことに気がついたんだ。
人生で一番悲しい時も、人生で一番嬉しい時も、自分が自分でいられるシカゴで経験するべきだと感じた。「幸せ」の意味は自分がやるべきことをやれていて、自分がなるべき人になれていることだと思う。自分の心が導いてくれる直感についていくとしたら、自分がシカゴにいるべきなんだと理解した。
自分にとってLAは「重大なライフステージ」を経験するべき場所ではないと語る。もちろんこの「地元」という考えには賛否両論はあるだろう。自分が居心地の良いと感じる環境から飛び出し、外の世界に出ていくことも「成長」に繋がると感じる。Chance the RapperがLAにて上記のように感じたのもある意味「成長」だろう。アーティストにとって、「心が導く直感」というのはとても大切であり、先日のAnderson .PaakとFlying Lotusの対談でも同じようなメンタリティを垣間見ることができる。
その精神的な気付き、成長を地元に持って帰った彼だからこそ、「外の世界」を経験した人ならではの問題解決ができると感じる。Chanceにとってシカゴが「成長のピークを迎える」場所だったように、次はChanceの活動によってシカゴの子供たちが「成長」できるようになるのかも知れない。
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