Chance the Rapperから学ぶ「ラッパーであることの誇り」。ステレオタイプに打ち勝て!
ラッパー/ヒップホップという言葉
を聞いたとき、どのようなイメージをしますか?もちろんPlayatunerの読者様はヒップホップファンが多いと思うので、変な偏見を持っているわけではないと思う。以前「ヒップホップ文化のはじまり」「ヒップホップの本質を読み解く」ではそんな偏見を人々の心から排除するために、ヒップホップが文化としてどのようなことから成り立っているかを書いてきた。
しかし世の中では「ラッパー」というフレーズにステレオタイプを持っている人も多い。以前私が親戚の集まりにて「ラップをやっている」と言ったら、驚きの反応があったのを覚えている。
「おめぇ薬とかやってんじゃねぇだろうな?(方言で)」
なんとステレオタイプ丸出しの発言をくらってしまったのである。正直「ラップ」という手法が先行し、ヒップホップが文化としてメディアを通して扱われないからしょうがないのかもしれない。
Chance the Rapperという名前
ラッパーにたいしてさまざまなステレオタイプを渦巻いているなか、Chance The Rapperが「名前にRapperというフレーズを使うこと」について語っているので紹介したい。From: GQ
➖ ラップじゃない手法をやっている場合もあるし、よく名前を変えたら?と言われるんだ。俺のお父さんにも「Chance the Artist」に変えたほうがいいんじゃないの?って言われた。そういうことを言われる度に思い出すことがあるんだ。
小さい頃、親友にジャスティンって奴がいたんだ。彼は超頭が良くて、学校でも成績が良くて、大人にも気に入られるような奴だった。よく俺とジャスティンで遊んでるときに、お父さんの友人に俺らのことを紹介してくれたりしたんだ。
「将来何になりたいの?」と聞かれたときにジャスティンは7歳なのに「生物医学工学者」と答えるような奴だった。俺は「ラッパーになりたい」と答えるんだ。
そしたらお父さんは俺が冗談を言ったかのように「いやいやならないよ(笑)」と訂正するんだ。
子供の頃の経験について語るChance the Rapper。自分の父を含めラッパーに対するイメージが悪いかもしれないが、彼にとって「ラッパー」とはどのような存在なのかを明らかにする。
➖ 俺はお父さんや彼の友人たちの反応が凄く嫌いだった。何故かというと俺は当時はカニエ・ウェストが最も頭のいい人だと思っていたんだ。最高の詩を書くポエットだと思っていたし、世界で一番ファッションセンスの良い人だとも思っていた。
それが俺にとっての「ラッパー」で、俺はみんなにラッパーという存在についてそう感じてほしい。俺にとってラッパーという言葉は「ブラック」と同じ意味なんだ。
そのイメージが悪いゆえに、ラッパーたちが自己紹介するときに「ミュージシャンです」とか「ボーカリストです」って言う状況が凄く嫌いなんだ。胸を張って「私はラッパーです」と言うべきだと感じる。
彼にとって「ラッパー」がどのような存在かを語った。確かにラッパーと言うと誤解されそうで「ミュージシャンです」と自己紹介する人は多いだろう。さらにラッパーがどのような存在になってきたかを話す。
➖ 俺はラッパーだ!と言うべきだ。良い意味で人々になめられないようになるかもしれない。
今では「え、この人ラッパーだったらもしかしたら大統領と知り合いかもしれない!」と思わせられるような存在となるべき言葉なんだ。
彼はThugでもギャングでもドラッグディーラーでもない。むしろ音楽業界の最先端にてChanceは「ラッパー」という名前を背負い、そのステレオタイプの向上に一躍をかっているのだ。彼は単に「ラッパー」だからこの名前をつけたわけではなく、自分の本名のように「名前へのイメージを変える」という意味が込められているのだろう。いわゆるChance the Rapperはただのラップネームではなく、名札のようなものだ。Tyler, the Creatorの名に込められた「一生クリエイティブでいる」というものと近い決意を感じる。
ライター紹介:渡邉航光(Kaz Skellington):カリフォルニア州OC育ちのラッパー兼、Steezy, incの代表。FUJI ROCK 2015に出演したumber session tribeのMCとしても活動をしている。
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