Writer: 渡邉航光（Kaz Skellington）

どのMCが一番凄いか？

アメリカでは床屋などで、毎日のように行われている議論だ。むしろ床屋以外でもこのような議論は毎日のように行われている。私もヒップホップ好きの友達とはこのような話しを常にしている。「好きなアーティスト」で議論すると正直個人的な好みで済ますことができるが、「上手いMC」という括りだと好み以外の基準も出てくる。

MCって何？って人は伝説のMC Rakimが説明してくれているので、この記事を是非読んで欲しい。

そんななか、MTVが発表した「2016年に最も熱かったMC 10人」というリストにたいして、さまざまな意見が飛び交っている。

そのリストはこちら

http://www.bet.com/music/2016/12/17/mtv-s–hottest-mcs-in-the-game–list-has-the-internet-up-in-arms.html から引用

いかがだろうか？

もしこれが、「2016年に話題になったラッパー」というリストであればそこまで議論になっていなかったであろう。もしかしたらMTVにとっては「MC」という言葉に特別な意味はないのかもしれない。しかしMCという言葉を使用してしまったがために、「そもそもMCじゃねぇ奴がいくつか混ざってるじゃん」と言われてしまっているのだ。

MCがもし「巧みに言葉を操り、ラップという手法を用いてメッセージを伝える人」という意味であれば、このリストはかなり的外れであろう。もし上記のMCという括りでリストを作るとしたら、リリース1週間で50万枚のヒットを記録したJ. Coleは確実に入るであろう。アルバムの内容もストーリーも素晴らしかった。 もちろんこのリストの中でも大好きなアーティストはいる。

・J. Cole新作「4 Your Eyez Only」から印象に残ったリリック8つを解説。映画のようなストーリーと最大のオチとは？

もしかしたら時代が進むにつれ、MCという言葉の意味も変わってきているのかもしれない。ヒップホップというカルチャーも、決して一つの決まった形があるわけではない。そう考えるとこのようなリストにたいしても寛容になれる。