Rage Against The Machine解散以降のザックの足跡を辿る

Writer: Akashi


Zach de la Rocha from Rage Against the Machine.

AlternativeNation.net

 

Rage Against The Machine(レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン:以下RATM)の伝説的ボーカリスト、ザック・デ・ラ・ロッチャが来年遂に初のソロアルバムをリリースすることと新曲の公開を発表した。

ザック以外のRATMメンバーにパブリック・エネミーのチャックD、DJロード、Cypress HillのBリアルを加えて結成された「Prophets Of Rage」の登場が、シーンを俄かに賑わせた三ヶ月後、ザックのソロアルバムのニュースが発表された。RATMメンバーによって構成されるバンドに、ザックが不在である事を悲しんでいたファンからすればこの上ない吉報であったのではないだろうか。

 

新曲(とはいっても既に公開から二月は優に過ぎているが)の分析は当記事後半にて述べるとして、まずはRATM後期から現在に至るまでのザックの足跡に目を向けてみたい。

RATM最後のアルバム、「Renegades」はまさかのカバーアルバムではあったものの、その内容を聞けばサウンドはまさしく彼らのものであることに疑いの余地はない。歌詞にもRATMに通底するものをしっかりと感じ取れるはずだ。彼らの音楽的、思想的バックグラウンドは社会の実情と、それにカウンター的に機能する音楽との双方があって初めて構築されるものであることを改めて実感出来る内容と言える。

余談ではあるが、上にあげたAfrika Bambaata(アフリカ・バンバータ)の「Renegades of Funk」のカバーが象徴しているように、このアルバムではよりヒップホップの「原初的な精神やサウンド」を志向したいザックの想いが感じ取れる。

そのような政治的な思想の対立が、主な解散の理由として取り沙汰されることが多々あるRATMではあるが、音楽面においての対立も解散の大きな理由であったと噂されている事に納得が行くはずだ。

その後ザックは元Mars Voltaのジョン・セオドアとのユニット「One Day as a Lion

や、Nine Inch Nailsとのコラボ作We want it all

などを発表。頻度は少なくとも時折音楽シーンに舞い戻っては見せるRATM時代とは異なる重く激しい、そしてソリッドな音がそこにはあった。

そしてRATMが再結成

 

実質的に活動休止したと思われた中でも、未だ明確な形ではリリースが発表されないままであった彼のソロアルバムのリリースが今回発表された。先行シングルとしてリリースされた「Digging from Windows」を分析してみよう。

当楽曲は以前ザックとコラボしたこともあるRun the JewelsのEl-pがプロデュースしている。

RATM時代より健在の重たいサウンドはそのままに、より 攻撃性を増したリズム(特にベースの音色)に耳がいく。ラップスタイルなどは以前と同じように聞こえるものの、より言葉をはっきりと分かりやすく伝えようとしているようにも思える。そして若干比喩的な表現や抽象的な表現が多く散見される点も、RATM時代との違いと言えるかもしれない(一曲だけで判断するのはいささか早計にも思えるが)。

とはいえ歌詞の主題が、基本的にアメリカ社会が抱える不安や政治の悪質な体制などに関する事に根ざしているので理解はそれほど難しくないだろう。

soundcloud上で無料で音源が公開されている。

黒人性に根ざしたヒップホップが現在改めてその価値を再確認されている中で、そうしたヒップホップとはまた違った路線で独自のヒップホップを切り開いてきたザックの来年の飛躍が今から期待される。

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