Dr. Dreプロデュースのお気に入り曲を厳選。30年以上のキャリアから見るヒップホップの流れ

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ヒップホップの真のOG、ドクター・ドレー

ヒップホップの最重要人物と言っても過言ではないDr. Dre。N.W.A.以前のWorld Class Wreckin’ Cruも含め、彼のプロデューサーとしてのキャリアは30年以上になる。そんなDr. Dreがプロデュースした、私のお気に入り曲たちをApple Musicのプレイリストに年代順にまとめたので、是非興味ある人は見て欲しい。彼のキャリアを年代順に追うと、ヒップホップの流れが見えてくるので中々面白い。

 

 

1984年にリリースされた「Surgery」と2016年プロデュースしたT.I.の「Dope」を交互に聞くだけで、どれだけヒップホップが変わったのかがわかる。

1980年代後半のN.W.A.の時期は、ジェームス・ブラウンやロイ・エアーズなどのサンプルが多用されており、サウンドとしてはまさに「ヒップホップ」である。確かにパブリック・エネミーなどと比べると、ビートはハードである。

1992年にはDr. Dreソロの1stアルバム「The Chronic」がリリースされたわけだが、これがヒップホップの流れをガラッと変えた作品となる。ドレーとスヌープ・ドッグが確立したG-Funkサウンドは、90年代ヒップホップに多大な影響を与え、当時は東海岸のラッパーたちも取り入れたほどであった。ドッシリしたベースラインに、OHIO PLAYERSの「Funky Worm」に影響されたとも言えるシンセサウンドを世に広めたのである。翌年1993年にリリースされたスヌープ・ドッグの「Doggystyle」は、このスタイルをさらに昇華したマスターピースである。

ヒップホップ業界が、いわゆる90年代ヒップホップサウンドから脱却したきっかけが、ドレーの「2001」であろう。1999年にリリースされたこのアルバムは、2000年代ヒップホップサウンドへの扉となった。

90年代ヒップホップはまだサンプリングが主流だったのもあり、渋い感じが少し残っている。しかし2000年代ヒップホップは打ち込みが主流なのもあり、完全にポップスと融合したヒップホップとなったのである。ギャングスタラップのハードさを残しつつ、ポップスリスナーでも親しみやすい迫力満載の打ち込みサウンドを取り入れたこの作品は、結果的に全米で780万枚を突破する大ヒットとなる。

もちろんリードトラックの「Still Dre」などで聞くことができる、インパクトのあるピアノサウンドは、スコット・ストーチと共にプロデュースしたサウンドである。スコット・ストーチはThe Rootsのキーボーディスト/プロデューサーもやっていたのもあり、フレーズセンスは抜群である。

この作品がリリースされる前と後では明らかにヒップホップの流れが変わっており、一つのヒップホップの時代の終わりを告げていると同時に、新しい形を定義しているかのような作品である。実際にその後のヒップホップはポップスと融合したトラックが多く、親しみやすい打ち込みサウンドが主流となっている。

このようにしてDr. Dreのキャリアを追ってみるとヒップホップの時代の変換を見ることができるのである。

 

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