Ice CubeとCommonが仲直り、新曲でコラボ。過去のビーフ解説
Writer: 渡邉航光(Kaz Skellington)
アイスキューブとコモン…
この2人の名前を聞いた時に何を思い浮かべるだろうか。やはりお互い90年代にビーフをし、敵対関係にあったということだろう。
そんな90年代からの敵対視していたヒップホップレジェンド2人がなんと仲直りをし、新曲でコラボをした。こちらがその曲。
お互いのコモンな点(共通点)は俺らは同じ船に乗っている同志だ。
アイスキューブのヴァースからこのフレーズが聞こえた時、思わず感心してしまった。もちろんヒップホップなので競争は必要でもあるが、このような共演を見るとやはりテンションが上がってしまう。才能があり、時代を作り上げてきたレジェンド達はいがみ合うべきではなく、カルチャーの底上げのために協力するのが美しいと感じる。アイスキューブは一度は敵であったコモンの名前を上手く言葉遊びに組み込み、リアルな奴だと賞賛した。
確かに昔は二人共バチバチで大きいビーフにはなっていたが、今は2人とも音楽だけではなく映画業界でもベテランとなった。そんな2人が出演する映画のサントラのために手を組み、またもやスキルフルなトラックが生まれた。
そもそも何故ビーフ状態になったのか?
それはコモンのこの曲から始まった。
この曲はヒップホップを女性として捉えており、「俺は彼女を愛していた」という内容と共に「彼女が西海岸に渡りギャングスターラップによって悪い方向に変わってしまった」というエンディングで終わる。この曲の解説はこちら
もちろんその時にギャングスターラップで第一線を走っていたアイスキューブや西海岸のラッパーたちにとってこれは耳の痛い曲であった。
そこでアイスキューブが反撃としてMack10という同じく西海岸のギャングスターラッパーの曲「Westside Slaughterhouse」にて、コモンをDisった。東海岸では防弾チョッキはいらない(東は弱い)と示した。西海岸全体をDisられたと思ったIce Cubeはコモンを名指しでDisった。(曲はMack 10 feat. Westside Connection)
Ice Cubeはこの時既にギャングスターラッパーとして一番売れていると言っても過言ではなく、業界内でもボスとして有名であった。さすがにIce Cubeに対して個人的にビーフはしないだろうと誰もが思っていた時にコモンは反撃した。
この曲はヒップホップ界のDisトラックの中でも特別ハードであろう。Ice Cubeに対して「お前はギャングスタとか言って強がっているだけで中身はただのビッチ」とハードな内容で反撃した。ギャングスタラップをやっているが現実の生活や育ちが全くそのようなライフスタイルではなく、ただの演技だとという痛いポイントをついたこの曲。このバトルはCommonの勝ちと行っても過言ではないだろう。
しかし2人もいい大人であり音楽でも映画でも大成功した超重要人物である。そのように成功した人たちがストリートカルチャーの底上げのために様々な面で協力し、貢献しているのはとても嬉しいことである。2人はBarbershopの新作で共演し、ネイバーフッドの皆の拠り所の床屋さんを演じる。
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