T.I.「俺がトラップというジャンルを作った」賛成?反対?トラップ初心者が勉強がてら考える

 

トラップミュージック

というヒップホップ内のサブジャンルはここ15年近くヒップホップの人気ジャンルとして君臨してきた。トラップと言うとアトランタなどの南出身のアーティストを思い浮かべるだろう。私は正直トラップに関しては全く詳しくないのだが、Gucci Mane、Jeezy、T.I.などのアーティストを思い浮かべる。また当時Lil Scrappyなどを聞いていたのもあり(TrapじゃなくてCrunkなのかも知れないが)、そのイメージが今だに脳内に残っている。

そんなトラップを世に広めた1人であるT.I.の発言が注目を集めている。

 

T.I.: 俺の次のアルバムはトラップになる。案外俺がトラップミュージックと創った人だと言うことを知らない人が多いんだ。俺がトラップを作るまでは南にはOutKastとCrunkしかなかった。

 

アトランタにおけるOutKastの存在の重要さ認知しつつ、トラップミュージックを創ったのは自分だと語ったT.I.。私は音楽を細かくジャンルにわけるのがあまり好きではないが、近年のヒップホップを語る上でトラップというものはあまりにも大きな要素であると感じる。普段あまりトラップを聞かないトラップ初心者の私だが、勉強がてらに彼の発言について考えてみたい

ここで思い浮かんだのは「確かに2000年代にメインストリームに出てきた感があるけど、そもそも最初のトラップって何?」「トラップってそもそも元は音楽ジャンルなの?」という疑問である。最初の疑問に対して、思い浮かべたのはGhetto Mafia、8Ball & MJGなどのアーティストであった。Ghetto Mafiaはアトランタ、8Ball & MJGはテネシー州メンフィス出身のアーティストであり、彼らは90年代前半から活躍をしていた。

彼ら以外にもいた気がするので調べてみたところ、米DJBoothにてかなり参考になる記事が上がっていたので紹介をしたい。こちらにはさらに詳細にトラップのルーツが示してあったのだ。彼らによると「Bun B」と「Pimp C」からなるUGKが1992年にアルバム「Too Hard to Swallow」にて「トラップミュージック」と「トラップライフスタイル」を世界に示したと語られている。確かにUGKがこのサウンドのパイオニアなのかもしれない。

 

 

トラップという単語

ここで再度気になったのは先程の2つめの疑問「トラップって音楽ジャンルなの?」である。DJBoothの記事にて「トラップライフスタイル」という単語があった通り、トラップとはアトランタで生まれた「貧民街でドラッグを売って生活をするライフスタイル」のスラングである。そのため最初は音楽ジャンルとしてではなく、サウスのラッパーたちのライフスタイルとして語られていたイメージがある。例えばT.I.が「Trap Muzik」を2003年にリリースする前の90年代から「トラップ」という言葉は様々なアーティストによって使われていた。OutKastのBig Boiも頻繁に単語を使用していたのである。OutKastは音楽ジャンルとしてトラップではないが、Big Boiが示すアティチュードには「トラップ精神」があったと感じる。そのため上記のアーティストたちの音楽を明確に「トラップミュージック」と提示する人が現れるまで「トラップ」というものは音楽ジャンルではなかったのではないかと、私は感じた。

 

そのように考えるとT.I.がトラップというジャンルを0から創ったわけではないが、サウスの音楽に共通点を見つけ、再確認的な意味も込め「音楽ジャンル」として再度命名した第一人者なのかもしれない。さらに「Trap Muzik」はダイナミックなトラップがメインストリームにて大流行するきっかけにもなったので、彼のトラップミュージックにおける功績は計り知れない。その後Young JeezyやGucci Maneなどのアーティストがトラップを次のレベルに持っていったのであろう。このように「単語」が「音楽ジャンル」に変わる様子を、0から勉強してみるのはとても楽しい体験だと今回の記事で気がつくことができた。

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