J.ColeのレーベルDreamvilleの新人「J.I.D.」を紹介。ケンドリック+Anderson .Paak+Lil Wayneを彷彿

 

J. Coleのレーベル

Dreamvilleは現在のヒップホップにてトップレベルのレーベルかもしれない(駄洒落じゃありません)。J. Coleは2016年末に「4 Your Eyez Only」をリリースし、そのリリシズムでファンを熱狂させた。彼以外に大ヒットアーティストを輩出しているわけではないが、所属しているBas、Omen、Cozz、Lute、Ari Lennoxのスキルは間違いなく、TDEと共にこのレーベルは今後のヒップホップ/R&Bを背負っていくものとなるだろう。そんなDreamvilleであるが、先日新しく「J.I.D.」というラッパーと契約したことを知っているだろうか?

Dreamvilleと契約し、1stアルバム「The Never Story」をリリースしたJ.I.D.。ケンドリックAnderson .PaakとLil Wayneを少しだけ彷彿とさせる声を持つ彼であるが、どんなラッパーかを調べてみた。

 

イーストアトランタ出身の彼が本格的にラッパーを志すようになったのは2012年頃。それまではスポーツに打ち込んでおり、兄が刑務所に長年いるなか、スポーツがトラブルや犯罪から自分を遠ざけてくれたと語っている。しかし大学を退学し、自分が今まで培ってきたスポーツという強みが使えなくなり、「ラッパー」として生活をしていくことを心に決めるようになる。彼のラップネーム「J.I.D.」は彼の祖母の「小さい頃は“Jittery(ちょこまか動く/ビクビクする)”だった」という発言からきていると語る。

その彼の「ちょこまか/ビクビク感」はラップスタイルにもとても合っていると感じる。本格的にラップをはじめた彼はEARTHGANGなどが所属するSpillage Villageコレクティブに所属し、アトランタにて名を売っていったのである。

Gucci Maneなどと同じ出身地にも関わらず彼はトラップサウンドではなく、「自分のサウンド」を持っているように感じる。そんな彼はアトランタを「トラップのキャピタル」としてではなく、様々な文化が混ぜ合わさっている土地だと証明したいと語っている。2015年にはDicaprio EPをサウンドクラウドにてリリースしており、こちらが業界内でもとても高い評価となっている。

 

アトランタのローカルにて名を売って行った彼はどのようにしてノースカロライナのJ. Coleと出会ったのだろうか?

それは彼がEARTHGANGのツアーに同行したときであった。EARTHGANGはAb-SoulとDreamville所属のBas、Cedric Brownとツアーを周ったのだが、そこでBasとCedric Brownと仲良くなったのがきっかけでJ. Coleの耳に彼の名前が入るようになったのだ。J.I.D.はCedric BrownがJ. Coleに聞かせていることを知らずに、Cedricが自分の音楽をエンジョイしているだけだと思いながら頻繁に音源を送っていたとのこと。そこからはJ. Coleがアトランタにて行われた彼のライブを見て、契約に至ったと語られている。

数度聞くと癖になる彼の声はケンドリックやAnderson .Paakと比べられることがあるが、実際に彼が影響されたアーティストは誰なのだろうか?彼は意外なことにスウェーデンのバンド「Little Dragon」を人生で一番好きなアーティストとして挙げている。ファンクラブも入っており、Little Dragonのタトゥーも掘る予定と語っている。Little Dragonのボーカル、Yukimi Naganoは日本人とスウェーデン人のハーフである。

 

今までのイメージとして強かった「アトランタサウンド」だけではなく、曲によっては完全に独自のスタイルを持っているJ.I.D.は今後どのように活躍するのだろうか?彼の新アルバム「The Never Story」は今後レジェンドとして成長するであろう彼のポテンシャルを垣間見ることのできる作品となっているので、是非チェックしてみてほしい。特にこの曲のビートスイッチ後のフローが素晴らしいと感じる。

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