Thundercatの新譜「Drunk」を聞いているとニヤニヤが止まらない理由。面白いリリックを解説
Brainfeeder所属
Flying Lotusが率いる鬼才/天才集団「Brainfeeder」のThundercat(サンダーキャット)が昨日新アルバム「Drunk」をリリースした。Thundercatを知らないヒップホップファンに説明するとケンドリックの「To Pimp a Butterfly」の数曲をプロデュースしたり、複数の曲でベースを弾いているような人物でもある。そんな彼の新アルバム「Drunk」はケンドリック・ラマー、Pharrell Williams、ウィズ・カリファなどをフィーチャリングしている。(このアルバムにて2曲書いているLouis ColeにPlayatunerではインタビューしているので、要チェック)
昨日からこのアルバムの話題でもちきりであり、私もヘヴィロテをしているのだが、妙に後を引く理由を考えてみた。そこで出た結果は「ナードでテクいサウンド」と「不真面目でイカれているリリック」のバランスとコントラストだと感じる。
例えば2曲目となる「Captain Stupido」
こちらのリリックは
「なんか変な感じする…髭を整えて、歯を磨こう。でもまだ変な感じする…肉棒を駆使してから寝る。」という内容となっており、最後の決めも、屁をこいて「あ、財布をクラブに忘れてきた。」というなんとも日常的な下ネタも入れたアホなリリック(褒め言葉)となっている。このサウンドの曲をもし自分で作ったとして、このようなリリックを自然とつけるだろうか?それができるのがThundercatなのである。
さらに次の「Uh Uh」では超絶テクいベースソロを見せており、「さすがThundercatだ…」と言わざるを得ないスキルで、作品の「かっこいいレベル」をあげてくる。と思ったら次の曲ですかさず再度Thundercat節のリリックを披露する。
「猫になれたら最高にクールだろうなぁ」という内容の曲であるが、サビで「ニャーニャーニャー」と鳴いているのが妙に癖になる。この甘くてクールな声でこんな「誰もが猫になりたいんだ」なんて歌う人はThundercat以外にはいないだろう。ふざけてるのに「コメディ」にならない真面目さはなんなのだろうか。
さらに日本のファンにとって極めつけは「Tokyo」であろう。
全体的に「東京にはじめてきたときの感情」を歌っていて面白すぎるのだが、いくつかのラインを要約をすると、
魚食いまくって気持ち悪くなるかもしれない
アニメに全部お金を使ってしまうかも(Yes!)
戦闘力9000以上(ベジータの台詞)だから俺を止めようとしても無駄だ
パチンコマシーンがどこにあるか教えてくれ
これは全部俺が幼い頃に始まったんだ。
歯医者にいったときに、ドラゴンボールのブレスレットおもちゃをもらった。
悟空が俺をこう変えてしまったんだ。
どうだろうか?聞いていてニヤニヤが止まらない最高のリリックとなっているだろう。まさに日本のサブカルチャーに取り憑かれてしまった少年がそのまま大きくなって超絶ベーシストになったのだ。このようにThundercatはサウンド以外でも最高に面白く、妙に後を引く作品となっている。もちろん「Show Me The Way」などでは真面目なリリックを歌っており、そのバランス感覚が素晴らしいのである。
是非皆さんもそこを意識して聞いてみて欲しい。
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