Jay Zとエミネムの楽曲「Renegade」からみる「Renegadeされた」という造語の意味
Jay Zとエミネム
2人ともヒップホップ界に多大なる貢献をした人物であり、間違いなく「GOAT(グレーテスト・オブ・オール・タイム)」であろう。彼らは常にトップラッパーとして君臨しており、ラップスキル/売上もトップレベルのアーティストだ。そんな彼らがコラボをした曲「Renegade」を知っているだろうか?
「The Blueprint」に収録されているこの曲は、元々エミネムとRoyce Da 5’9″のコラボ曲(エミネム+ロイスのバージョンはこちら)のはずであったが、Jay Zが使用したいということで買い取ったのである。
Jay Zが買い取って正式にJay Zの曲になったわけであるが、この曲には一つの言い伝えがある。それはこの楽曲では「Jay Zはエミネムに完全に食われた」ということである。そう、Jay ZのアルバムからリリースしたJay Zの楽曲にも関わらず、ゲストのエミネムのヴァースがJay Zより勝っていると言われているのだ。
NasのJay Zディスソング「Ether」から言葉を借りるとしたら
Eminem murdered you on your own shit.(お前は自分の曲でエミネムに殺された)
と一般世間ではこのような意見が多い。もちろんJay Zのヴァースも素晴らしければ、フィーチャリングしたゲストに「食われてはいけない」というルールも明確には存在しない。しかしヒップホップは競争がとても激しいジャンルである。楽曲で他のラッパーとコラボをするのであれば、常にコンペティションなのだ。
ここで注目したいのは、スラングの大辞典とも言える「Urban Dictionary(アーバン・ディクショナリー)」に「Renegaded(レネゲードされた)」という造語が出来ていることだ。そう、このエミネムの「食いっぷり」があまりにもインパクトが強かったため、このように「ゲストがメインアーティストを食う行為」を「Renegaded」と呼んでいる人たちがいるのだ。Lupe Fiaso自身も「Drogas LightにてBig K.R.I.T.にRenegadeされてしまったよ」とツイートをしている。
例えば他に「Renegadeされた」曲にはどのようなものがあるだろうか?例えばTrick Trickとエミネムのコラボ「Welcome 2 Detroit」などもそうかも知れない。UGK feat. Outkastの「Int’l Players Anthem」ではAndre 3000によって「Renegadeされた」と言っても過言ではないであろう。Big Seanの「Control」のケンドリックのヴァースもまさにそうであろう。
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