米大統領候補のバーニー・サンダースがヒップホップラジオに出演
Writer: 渡邉航光
先日なんとなくいつもチェックしている米ヒップホップラジオ番組、「Ebro in the Morning」でいろいろインタビューを漁っていたら、目に止まる動画があった。それは現在行われているアメリカの大統領選挙の候補者、バーニー・サンダース氏のインタビューであった。
このような政治家がアーバンなヒップホップラジオに出演するということに驚き、一瞬「フリースタイルでもするのか?」と思ってしまったが、そうではなかった。
Playatunerはとしてはあくまでも音楽メディアなのだが、ブラックミュージックとカルチャーを語る上で調べておくべき音楽以外の分野もあると信じている。
このインタビューの前日にヒップホップ発祥の地、ブロンクス区にてスピーチをし、大盛況となったバーニー・サンダース氏。政治に疎い人に対しても簡潔に説明をしてくれているので、重要だと思った部分を要約したいと思う。バーニーと言えば貧困問題、人種問題、教育に力を入れている政治家であり、このラジオステーションのメインホストのEbroの激推しでもあった。
Ebro「まずはあまりあなたのことを知らない人たちにどのような政策か簡単に説明して欲しい」
バーニー「まずはこの30年間でアメリカで何が起こっているかを考えよう。莫大な資金がミッドクラスからトップ0.1%の財産へと移動している。それは数兆ドル単位での話しであり、裕福はさらに裕福になり、ミドルクラスが縮小し、4700万人が貧困という状態だ」
バーニーはここ30年間のアメリカの資産の流れを説明し、さらにこう続けた。
バーニー「さらに2016年の教育について語るとき、私は今の公立小学校1年〜高校だけでは足りないと思っている。技術、人々、世界、情報が変革していくこの世の中では高等教育がさらに重要になってくる。子供たちが平等な教育を受けるために不当な金額を毎日払うのは見たくない。」
Ebro「そうだ!この番組の皆も今だに教育ローンの返済で困っている。」(ここで番組の皆が頷く)
バーニー「そう。元々生まれが裕福ではない人たちは適切な教育を受けると、その返済のために車も家も買えないし、結婚もできなければ、子供も産めないような状況になってしまう。その人達がなんの罪を犯したというんだ!?外に出て自分が受けるべき教育を受け、正しいことをしたのにこの仕打を受けるのはオカシイ。」
元々生まれが裕福ではない人の教育費、ローンの問題について語る。さらにこう続ける
バーニー「世界で一番の成長と資金を誇った国の子供たちが、何十年も教育ローンを返済しないといけないのは問題である。私は公立大学の教育費を無償にするべきだと信じている。
そしてこれはそこまでぶっ飛んだアイディアではない、ドイツもスカンディナヴィアもやっている。」
そこで出てくる質問は「どこからその予算は出てくるんだ?」という質問である。
簡潔に言うとウォール街の取引のストックに少額の税金をかけることにより公立大学の教育費を賄うとのこと。いわゆる2008年の金融機関救済の恩返しと彼やメディアは呼んでいる。
2008年にリーマン・ショックが発生して以来、アメリカだけでなく世界中が不景気に喘いできた。その際に政府は税金で金融機関を救済したのである。当時政府の「裕福への優遇処置」を受け、「ウォール街占拠」のデモが行われた。特にアメリカの19歳から20代前半の若者(ハイスクール卒、大学卒)の4割は職がなく、不満を感じていたのだ。
“We are the 99%(私達が99%だ)“がこのデモに参加した若者のスローガンであり。 1970年代から、アメリカ合衆国において、上位1パーセントの富裕層が所有する資産が増加し続けている状況を表している。バーニーはその上位1パーセントに対して立ち上がる必要がある、と語る。
そのような1パーセントの人々や企業が、様々な手で税金から逃れているおかげで若者が満足な教育を受けることができない、受けることができても何十年も教育ローンを支払わないといけない現状がある、と彼は主張しているのだ。
彼はストリートやゲットーなど、インナーシティの問題を解決すべく動いている。そのためブロンクス区などのストリートから支持されているのだろう、と素直に感じたインタビューであった。
ヒップホップやブラックカルチャーにインスパイアされた人たちは、是非「音楽」だけではなくそれに深く関わる地域の問題にも焦点を当ててみることにより、その音楽がどう生まれたかを深く理解できる可能性が高い。
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